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さようなら、はてなグループ…

「町内粛清大会」

朝、店に行くと、敷地内にお揃いの白衣を着て蝉のようなマスクを被った人が大勢いた。
驚いていると一人がマスクを取る。近所の人だった。
「何してんですか」と聞くと「ああごめんね。すぐ出るからさ」とマスクを被り直す。
「ちょっと最近目に余るからね。みんなで決めたんだ」と別の誰かが続け、皆が敷地から出て、裏の区画に散らばっていった。
いや、うちの店を勝手に集合場所に…。
やがて悲鳴が聞こえてきた。
蝉マスクの人が何人か、手と白衣を真っ赤に染めて走ってきて叫ぶ。
「手こずらせやがる!」「一人やられた!」「向こうに回れ!」
「毟ってやれ!」という声も聞こえた気がする。素手でやるのが決まりらしい。
しばらく怒声が飛び交い、今日は店を開けないほうがよかったかなと思い始めた頃、ようやく町は静けさを取り戻した。
誰も「終わったよ」と事の顛末も込みで言いに来てくれなかったし、
そもそも標的がどこの誰かすらわからなかったので暇な時間に自転車で現場を見に行ってみた。
正確には隣の隣の区画だった。路地裏にめちゃくちゃに壊れたスナックがあった。
床が真っ赤だった。
ママらしき中年の女性が隅で不満げにブツブツ言っていた。
うまく示し合わせてあるので、表沙汰になることはないそうだ。