honkyochiblog

さようなら、はてなグループ…

「一年ぶりに極妻のことをさらに真剣に考える」

いや、途中、ちょこちょこは面白いのよ、その一瞬を切り取ればさ。
自分の体が担保だって津川雅彦に言い放って迷彩服みたいなの脱いでテーブルに並べられた5億円の上で赤い下着で横たわるかたせ梨乃、とかはね。
そういうのは状況だけでおかしいじゃん。(でもあの場面、なんぼバブルの時代でも無保証で5億まで出す価値があるとは思えないし、津川が外に出したらお札にかかっちゃうよね。まあちょっとくらい飛んだってお金に変わりはないけども。)
っつっか東映のやくざものなんだからそういう「何だかわからないが妙な勢いがある」場面と「どう考えても面白い」場面と「蜂の巣になって死ぬ」場面だけで映画を構成する努力をすべきだろう。見る側も絶対それを望んでいるし、作る側だって絶対その方が面白いはずだ。そこに何か歌手とか有名人がゲストで一瞬出るとかおまけをつければOKだろう。
今回やった「極道の妻たち 最後の戦い」はこんな話な。最初の5分くらい見逃したんで推測だし、順序がすこし違うかもしれないけど。あ、重要なとこカットされてたらかなわんなー。

  • どこぞに一家をかまえる○○組。主人公はそこの組長の妻岩下志麻。姐さんと慕われている。上部組織である(たぶん)××一家の跡目争いから抗争になり、組長は服役し、志麻が代行をつとめている。
  • ××一家はいま中尾彬が仕切っている。
  • 抗争で死んだ組員の妻、かたせ梨乃は刑務所の面会室で組長立会いのもと志麻と杯をかわし、妹分に。組長は小林稔侍であった。
  • かたせ梨乃、××一家の金庫番でもある津川雅彦と交渉して5億円を借り、どこぞの土地に総合レジャー施設を作ろうとする。
  • しかし、××一家が裏で邪魔してるのか、なんかうまくいかない。
  • かたせ梨乃、邪魔してたっぽい(夫の仇と思ったのかもしれない。よくセリフ聞こえなかった)××一家幹部を地方のお祭に乗じてお面をかぶって襲撃、射殺する。全ての黒幕は彬だと知る(んだと思う)。
  • 稔侍、出所直後に墓参りに出向き、そこで××一家と鉢合わせでそのまま屋敷へ。志麻激怒し屋敷へ乗り込む。その場での稔侍の融和的な態度にムカツく志麻。
  • 高級クラブで稔侍の出所祝い。バーカウンターで津川、志麻に「ヤクザなんかやめて実業家やらない?」と振ったら超おっかない顔で睨まれてビビる。津川出番終了。
  • 稔侍、彬の傘下に入り、組を解散するみたいなことをテレビで勝手に発表。志麻激怒。
  • 稔侍に夫の仇を討つ気がないと思った梨乃、高級クラブにドレス姿で客を装って侵入、拳銃を乱射し彬を狙うがボディガードに撃ち返され蜂の巣に。目の前の惨劇にショックを受ける、たまたまそこでホステスやってた(ふだんは大学の受付)、梨乃の旦那の妹、石田ゆり子
  • 血気盛んな哀川翔(ゆり子に思いを寄せているが、金持ちの彼氏とかいてさ)その他はいるものの、愛人相手に腰を振るばかりでやる気の全くない稔侍の前で愛人を張り倒し、なお文句を言うと日本刀を持って逆ギレするので志麻姐はそれを掴んで自分の左足を突き刺して黙らせる。稔侍出番終了。
  • 哀川翔始めとする若い衆は愛人宅から出てきた中尾彬を襲撃。いつの間にか彬の愛人になってたゆり子もろとも彬除く全員が死ぬ。
  • 救急車到着。そこに出てきた喪服姿(直前に着替えて、車中で待機してた)の志麻姐、担架に載せられてた半死半生の中尾彬の頭を拳銃で撃ち、杖をつきながら去る。彬は死ぬ(完)

こう書き出すとテンポよく話進むっぽいけど、実際にはえらいタルい。津川雅彦パートの締めは中途半端すぎないか。何か志麻姐にされて「何て恐ろしい女やー!」とか叫ばせるべきではないのか。
だいたい21時開始で、稔侍にキレるの22時40分てどういうことだと。あと15分切っててまだ身内でゴタゴタしてるって、どう考えても遅すぎる。ドンパチが、抗争が、攻防戦が見たいに決まってるのに!
稔侍が志麻の夫ってのがそもそも格的・年齢的にどうよという意見もあるけど、宅間伸が夫って回のことを思えば何でもないさ。それにダメ親分役なんでヤクザ映画で名を成した人にはやらせられないし。配役がどうこうではない。役者はベストを尽くしている。


とにもかくにも、展開が遅すぎるし、情報がなさすぎ、これに尽きる。
引きの絵が多いのは、観客の物語への没入を阻害し、具体的なヤクザ知識・情報の少なさもまた集中力を削いでいる。頭を撃たれるとヤクザは死ぬってことがわかったくらい。
まずは、劇中の飲み会の回数を減らすべき。何かして稼いだ金で高い酒を飲んでいるのであるから、やはりその「何か」を描くべき。セリフではなく、描写で。
こう考えたのであれをやり、そのためにこうなって、と、決断と行動・因果関係を描くべきじゃないか。
そして主人公たる志麻姐がラスト、動けなくなってる彬を撃つだけというのもどうだろうかと。カタルシス的に。中尾彬哀川翔の銃弾ちゃんと受けて、その上で哀川翔の拳銃もぎとって反撃するとか、根性見せてるしさ。そもそも劇中で死に値するほど悪いことしてる描写が少ない、というか無い気がして。カットされたとこで悪いことしてんのかな?