honkyochiblog

さようなら、はてなグループ…

「インディアン・ケイミーと33,000円のたばこ」

布団に寝っ転がっていたら何となく何か欲しくなったので、夜明け頃、傍にいた「事情通」に声をかける。
すると事情通は何か欲しいんなら床の固いところを4回,4回,5回のリズムで叩けと言う。
そうすればこの建物の上の階か下の階の誰かがそれを聞きつけてすぐに対応してくれるから、
変な匂いのするのが欲しかったらそう言えばといい、と。
へえと思って寝ながら床を叩いてみるが何の変化もない。
何も起こらないじゃないかと言うと、まあもうちょっと待て、と事情通。
しかし事情通と認識しているくせに、その顔には見覚えがない。黒いポロシャツを着ている男。なぜここにいる。
などと思っていると表にスポーツカーか何かが止まる音がする。
ほらな、すぐ登ってくるからさと事情通が言うと、
確かに外壁をザッザッと登ってくる音がする。
えっここ3階じゃん、すごいなと感心していると黒ずくめの人がベランダに降り、しゃがんだままの姿勢でこちらを見る。
窓を開けて、変な匂いするやつある?と言うとその人はポンプで何かを吸い上げるようなジェスチャーをしてこちらを伺うので、いやいや、そうじゃなくて口で吸うやつがいいと言うと、左手からマジシャンみたいに茶色いたばこを何本も出した。
へえ、いくらなのと聞くと事情通が横から10本で33万だと言う。
え、そりゃちょっと高いなあ今5万円くらいしか持ち合わせないし、でもとりあえず1本試してみようかなと言うと、
黒ずくめの人は事情通と直接売買をすることに切り替えた様子。無視されんのはちと悲しい。
事情通は使い古しの札を束にしたやつを何個も持っている。羽振りがいいなと思いながら眠くなって寝てしまった。


起きるとすっかり明るくなっていて、二人とも消えている。
勉強机の上の本が何か気になったのでどかすと、
そこにチラシが何枚かと17000円と茶色いたばこが1本あった。
チラシはライブハウスかなんかのもので明らかにダミーで、
その中の銀色の変な形のがさっきの黒ずくめの人の連絡先を記したものらしい。
それには小さな文字で携帯電話の番号と、
のたくったようなロゴで、アルファベットで「インディアン・ケイミー」とある。
それを見て「ああそういえばさっきの人は白人の女の人だったな。商売熱心だな」と思いつつ、
「さてこのたばこをどこにしまおう」と考え始めたところで目が覚めた。
とっとと吸っとくべきだった。