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「おおかみこどもの雨と雪」

サマーウォーズ」よりずっと出来がいい。あれがすごく良かったって人にはこれはもう傑作に、別にそうでもない・むしろ駄作だれあれって人にもこれはまあ良作かなと思えるのではないか。何より恐るべきは宮崎あおいっていう話でもあって、「ディカプリオと残念な嫁」シリーズ三部作みたいに、「宮崎あおいと残念な夫」シリーズってのも成立するよねっていう…あーいや、現実でも映画でもって意味で…(全然フォローになってない
キャラクターデザインや美術なんかは前作と同じく、とてもいい。それはもう前提。監督自身の実感に基づく(とおぼしき)「子育て観」も前向きでいいんじゃないですかね。いやわかんないけど。

序盤でヒロインのアパートの本棚に「棒がいっぽん」や「黄色い本」があるあたりから「あっ仕掛けてきてる」って感じ。大学の講義室で見かけた謎めいたおおかみ男を逆ナンで一気に落としておおかみ夫とし、当然の帰結としておおかみ赤んぼを孕んでからは、次々と迫りくる様々な現実的困難を女子力いや人間力でも説明のつかない不思議な力・あおい力で突破していく。おおかみ夫は見た目に反してちゃんと働く人なんだけど、まあそんな感じで唐突かつ必然的に、ポスターにある通りのシングルマザーに。「彼がどうしてあんなことになってしまったのかは、私にはわかりません…」みたいなセリフにはすごく実感がこもってる。
それからの展開も、ラストをのぞけば、普通の人なら無理だが宮崎あおいならいける!っていう。二人の幼児をどこにも預けないまま出来るバイト(どんなんだ。内職か)で食いつなぐくらい困窮しつつ児童相談所から逃げるように引っ越してもしばらく持つくらいに貯金はあるし、自力での家の修繕は完璧に、そして低賃金な自然観察員仕事と畑仕事と子育て・家事全般もきっちりこなしてやつれも日焼けもせず、常にちょっとかわいい服を着て、田舎の人間も狭量ではなく不審に思われず何も嫌なことはされず、ハチにもブヨにも毒毛虫にも悩まされずイノシシにも熊にも襲われず…全部あおいなら可能!ピチモ上がりをナメんなよ!
いやしかしラストはなー。「10歳の男の子が突然いなくなる」のをどう処理したのかと…その地にとどまりながら周囲を納得させるのは難しいだろ…というか無理だろ…。「周囲にどう思われようと構わない」って考えは出しどころを間違えると危険だよね…。あと林原めぐみも何気に出てくる。走りながら瞬時に、上着だけ業界人みたいに肩がけにね。ほんと前から不思議なんだよね。そういうことにこだわる話ではないというのはわかるけど。耳の位置が頭蓋骨の構造ごと変化していく感じかな…