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「崖の上のポニョ」

前半はとにかくもう、どうかしてんじゃないの?!まともじゃねえよ爺さんアンタ!ってくらいすごい瞬間がくるんだけど、
後半実に微妙です。駿さんの悪い癖だ。もしくは鈴木敏夫、ちゃんと仕事しろ。
いやすごいよ、ポニョが来襲(としか表現できない)するときの映像は。もうそこだけでも大画面で観る価値あるというか、あまりのことに笑うしかない。
ネタバレなど含んで口からピューッ。観終わった人だけ読んで!

  • というわけで、どう考えても、中盤までで力尽きたでしょこれ?とまず思った。爺さんだってことももちろんあるけど、順を追って作るという製作スタイルにおいて、時に避けられない事態かとも。作業量の配分もそうなんだけど、だんだんに面白いこと思いつかなくなってくる思考量の配分の崩れと。後半、絵として面白いとこが少ないし。ちょっと脱線するけど、今となってはネット上で爆発したムスカ人気のおかげもあって最初から最後まで実況で盛り上がれる「天空の城ラピュタ」も、活劇的なクライマックスは「要塞からシータを救出する」までかと。あそこまでは本当に、何度観ても血沸き肉踊る、皆が大好きな駿アニメの成分だと。それ以降はまた別の盛り上がり方を模索していくというか、後半がああなるなら前半をこの方向で面白くしまくるのは正直どうなのよ駿、と、ちょっとだけ言いたい。それでもテーマというか主張がギュンギュンに詰まってて見せ切るのがラピュタで、綺麗さっぱりなくなってて「あれ?」となるのがポニョ。温暖化とかどうでもよさそうだ、駿。
  • だもんで(というわけでもないけど)、「わけのわからないものどもを引き連れ、怪物の女の子が男の子の家に来襲する」前半クライマックスは神の領域。嵐の中、荒れ狂う海面を走って現れるポニョ!という場面はあまりにもとてつもない。すごすぎて笑う。そして文明社会は崩壊。マジかよ。前半でかよ。
  • で、崩壊以降はマッタリ進行で、「あれをしないといけない!」が特に示されず、それでもまあ魔法ででかくしたおもちゃのボートでの航海までは楽しめるけど、それを降りてトンネルくぐって水没した老人ホームについちゃってからは…
  • 「だ、代償、軽っ…」「葛藤、ねえなあ…」
  • そこが不可解。絵としてもすんごいことにならないのもまた不可解。「もののけ姫」だって絵としてのカタルシスはあったじゃないですか。
  • 絵柄は、全体的にザザッと描いたような描線で、何か不思議な感覚なんだけど、まあそのうち慣れる。
  • 車の動きは遊びすぎで、何か懐かしく、まあ楽しい。
  • 真水でも海水でも生きられるんだ、ポニョ。
  • 所ジョージや一茂の吹き替えへの心配はまあ杞憂に終わった。特に一茂の役は物理的にも離れた場所にいて、ほぼ誰とも絡まない(一方的にセリフ言うのみ)ので、どうとでもなる。まあ、ちゃんとした声優さんならもっと!ずっと!良かったと思うけど!この人じゃなきゃ駄目だなって役はひとつもなし。
  • 山口智子の役、体の線と着てる服の感じが良かった。喋ると微妙。声がじゃなく、そのよくわからない前向きさ加減が個人的に苦手。
  • 天海祐希の役、キャラデザ的にどうかと。同種であるだろう所ジョージの役と比べても、違和感がすごい。内面的にも全知全能すぎ、面白みなし。水面から顔を出す前の、「何かキメたのだろうか…」という描写が凄くいいだけに。
  • 個人的には、別に後半どうともならないキャラ(幼稚園だか保育園だかの女の子)がちょっとだけからむのは振り返ると不思議。「役がありゃそれだけスタジオで幼女に会えるだろ?」という心の声を勝手にキャッチし不思議解消。
  • 「ポニョの足、手みたい(に指が器用に動くん)だよ」って全然生かされなかったね。足の指の握力が強いのは未来少年コナンだっけ。
  • 男の子の(ギャグとしての)説明セリフはよかった。うるさいよ、宗助(笑)という。
  • 「DNA」とか「身元引受人」とかの単語を海側のキャラが言うのはちょっと変。な気がした。面白いからいいけど。
  • しかしおっかないのは、ふとした一瞬に、「でも、ラスト近くで最高に盛り上がらなくてはいけない、というのも固定観念なのかも…現にスピルバーグだって、そういうこと多いじゃないか…」と思ってしまうことで。いやー、どうなのかなー…おっかねえなあ。
  • というかさ、いじくりまくる前の「もののけ姫」でいいから、やっていただけないだろうか、駿。モコモコのもののけが、狂った殿様によって幽閉されたお姫さまを救うやつー(すごく駄目な表情で)。