honkyochiblog

さようなら、はてなグループ…

「ブラックブック」

いや、これはすごい。
罠蜂の巣略奪脱出潜入盗聴裏切り確執救出罠銃撃おっぱい裏切り罠蜂の巣策略うんこ裏切り脱出窒息…みたいな感じの無限連鎖で、映画終わる頃には死屍累々もいいところでもうペンペン草も生えません。いやバーホーベン本領発揮しすぎ。アメリカでどれだけ自分押さえてたんだっつう。
主役を演じる女優さん、ちょっとどうかと思うくらい物語的にも演技的にも凄まじい目に合わされるけど、本人の資質なのか、不思議と飄々としたところがあって素晴らしい。観てる方も救われる。
ドイツ軍のもとで同僚として働くことになる明るくてちょいバカっぽいあの赤毛の女の人、
あの人の生き方もかなり興味深い。ああいう、何も考えてないけど何だかトントン拍子にうまくやれる人って実際いるよなあ。
伏線も小道具も綺麗に消化され、言うことなし。
ただあのつるっぱげの将軍は納得いかねー。ああいう政治取引みたいな感じで生き延びた人もそりゃ多いんだろうけど。
「どう状況を読むか、そしてどうふるまうべきか」が大事だよね、という話だろうかね。


霊柩車を停めて、河原にレジスタンスの生き残りのじいさんと二人で佇むカットがいい。
リトル・ミス・サンシャイン」でも似た構図のカットがあった。
画面の上半分は道路に停めた車、下半分は傾斜した野っ原にどうしようもなくなった人物が佇む。そういうカット。
何だか不思議なくらい気持ちが揺さぶられる。
たまらず降りてはみたけど、ここにずっといるわけにもいかない。ひどいことが起こっても、死んでほしくない人が死んじゃっても、生き残った人はどうにか折り合いをつけて、また車を出して、先に行かなきゃならない。そんな感じの。寂寥感というか。