honkyochiblog

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「アルゴ」

いや参った。ほぼパーフェクトっていうか、とにかくもう不思議なくらいにハラハラしてしまったんだからしょうがない。こっちだってある程度の量の映画観てるんだから、どんな映画だってそれなりに余裕持って観ているべきだろうに、「…いやでもこれ、きっちりハリウッド大作だし主演はベン・アフレックだし最後は絶対なんとかなるはず…ていうかそもそもどうにかなったからこそこうして再現ドラマもできるわけで、ダメだった話なんか作られるわけないし、だいたい映画ってそもそも嘘んこの話だからこの人たちも怖いことにならない、大丈夫だし…だから全部切り抜けられる…はず…だもん……でも…」って途中で子供の頃に戻っちゃうくらいドキドキしてた。何これ、なんか魔法の粉でもかかってんのってレベルの緊迫感の編み上げられぶり。

段取りがことごとくうまくいってる。必要なところに必要なカットがあり、時代の再現も過不足なく、実に真っ当に話が進んでいく。建物の外で大勢の人が怒ってるって状況はもともと、世界中の誰にでも通用する怖さだと思うけど、そんな状況の国から嘘をついて脱出しようってのが、当の大使館員の立場になってみると「他に手はないんだ!」といくら説得されても怖すぎるよね…その心細さ、想像するに余りある…相当やけくそにならなきゃ出来ないよこんなこと…。大使館員を演じてる人も、とにかく上手かったよね、あんまり出すぎずにさ…って眼鏡の女性、クレア・デュヴァルかよ!わかんなかったなー!あと美術監督に化ける人を演じた女優さんの名前がパンフでわからないのは気の毒なんで全員顔写真つきでのせてあげてください…土壇場で熱い活躍を見せるスクート・マクネイリーが演じる役の奥さん役の人…ケリー・ビシ!

癒しはジョン・グッドマンアラン・アーキンのハリウッドおっさんコンビ。というかそこのみ。中原俊の「Lie lie Lie」(DVDになってないとか!)もそうだけど、いい年こいた不良が「嘘っぱちのでっち上げを騙して売り抜けようなんて、俺らが普段やってることと変わんねえよな!」って自嘲まじりで闘いに挑むのが何とも燃える。
ちょっと気になるところもないではないけど、「実際それはクリア出来たわけだから…」の前には何でもないぜっていう。複写の紙が6人分もないとことかね。あれは比重をグッと下げておけばよかったのにね。全然描写しないとかさ。
付け加えられたとおぼしきところも「そりゃいささかベタだろ」って感もあるんだけど、それだってこの緊迫度の前には…
後は、まんまとしてやられた革命防衛隊の皆さんはあの後どうなったのか…っていう気にはちょっとなるよね。