honkyochiblog

さようなら、はてなグループ…

丸顔のおっさんがやってきて汗を拭きながら困ったような笑顔で言った
「あのー、こちらにうちの家内がお世話になってませんでしょうか」
「え、(来店したかということか?)何時ごろでしょうか?」
「夕方…5時頃かと…」
「カードとか使われてたら調べればすぐに分かりますが」
「いや…キャッシュですね…」
「ああすいません…それではちょっと…特徴などわかれば…」
「これこれで…」
「…見覚えがないですね…」
「ここを通ったと思うんですが…」
「連絡は取れないんですか?」
「携帯を持たせていないもので…」
「でも、どこに行ったとかが分かれば、そちらに連絡して…」
「今日早実勝ちましたかね?」
「?勝ったと思いますが…」
「ああ…じゃあ関西に行ってしまったのかもしれない…」
「関西」
「甲子園の方に…」
「!応援にですか?」
「このまま勝ち進んだらしばらく帰ってこないな…困った…うちに入れないんですよ…」
「え?」
「いや私ね、今日東北から戻ったんです。この近くの大学で教えてまして、マンションも近くに借りてまして」
「ほう」
「家内がいると思ったので鍵を持たずに出たんです」
「しかし奥様から連絡が入るのでは…」
「それが、私も携帯を持っていないのです。メールなどにかまける学生たちに注意している手前」
「あー」
「仕方なく大学に向かいましたが、お盆で誰もいません」
「そうでしょうね」
「近くに住んでる同僚も皆帰省してしまって」
「この時期じゃ」
「どうにもこうにもで」
「あ、鍵の業者を呼んで自宅のドアを開けてもらうのは」
「呼んでみたんです。しかしセキュリティ重視で最新式の鍵をつけたので、合鍵を作るのに50000円ほど、しかもその他の鍵が使えなくなるというので諦めました」
「それではカプセルホテルにでも泊まるしかないですね」
「守衛さんは1000円しか持ってないそうで」
「?」
「私は3000円しか持ってないのです」
「足りませんね」
「だから電車で後を追って、改札で待ち合わせして足りない分のお金持って来てもらおうかとか」
「…待ち合わせが出来るかどうかですよね」
「なので家内がここにお邪魔しなかったかと…」
「うーん…」