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さいきん、カメはショーケースの下に入って大体寝ている。ときどき起きて出てきて、体が乾燥していると判断すれば水浴びをし、また物陰に戻って寝る。
そのため、店の奥の、商品陳列棚の前の床にはカメの水浴び用のプラケースが置いてある。
レンガを削って作ったスロープを置いて、いつでも出入りできるようになっている。
そこに今日、常連客の奥さんであるところの、前にも書いた陰謀史観の持ち主のおばはん・カーラさんが何かの拍子に足を滑らせて尻餅をつく形になり、そのはずみで商品陳列棚のガラスが割れ、持ってたカシミアだかのコートが裂けた。
とはいえさいわいにも、誰にも、カメにも（騒がしいときは出てこない。賢明すぎる）、怪我はなかった。
カーラさんは「弁償致します」と謝り、すぐに近所のガラス屋に修理を依頼した。年明けには元通りになる様子。カーラさんはそれ以降、旦那が迎えに来るまでストーブの前で尻を乾かしていた。
ガラスの破片で夜になって出てきたカメが足の裏を怪我しては何なので、入念に掃除機をかけた。