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honkyochinikkiから派生しました

「サマーウォーズ」

すごい混んでた。前売り買って13時ちょいにバルト9着いても14時の回はおろか16時の回も満席。難民と化して板橋まで行く始末。まあ何しろ当たっているのはいいことだ。それだけで充分だとも言える。その上で敢えて、みたいな感じだけども…
この作品、キャラクターデザイン*1や声優陣*2や背景美術*3はバッチリ決まっているけど、
違うんだこんなもんじゃない、あの、あの伝説の劇場版「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!」のセルフリメイク(みたいなもんでしょ?)ならもっとなんかこう、すんごい高みを狙える!狙えるはずだし狙わなきゃいけないんだよ!という、そんな気持ちになるのは、
(高濃度ネタバレばかり含みます)
(「ぼくらのウォーゲーム」観た人のみ進んでください)
(ほんとお願いします。話は全部それからなんで)
(「デジモン知らないし」とか関係ないから)
結局、ひとえに、脚本の推敲不足、ということに尽きる。
まず、事の起こりが遅い。異変は開始早々だろう。主人公たちが気づくのは後でいい。「早く気づけよ!」というサスペンスを生むから。成功したセカンドライフ・OZワールドの説明をまずしないと…というのは山々だが、それとヒロイン一族の顔見せは両立できるだろう。一族ってことは後で分かればいいさ。
ヒロイン(一般ユーザー)がログインする場面から始まって簡単な説明に移行、その後に順次、仕事として社会インフラの維持にかかわる一族の男女(管理者権限を持つ)がログインしていくとかで。で、それを踏まえて、暗号メールはヒロインが受け、夏のアルバイトの関門として設定して何十人もの生徒が挑戦するも、解けたのが主人公、で、後に「本当は主人公くんだけ(が解く)って思ってた」と言うとか。なんつうか、ジャンケンで適当に選ばれても困るんだよね。「誰だっていいのか」みたいなね。友人が主人公になったかもしれないのかとか。まあそんなポジションから出世するからいいんだって見方もあるのかもしれないけど…。とまあ、そんなこんなが積み重なって、ヒロインが内面のある人間、魅力ある人間に見えなくなってしまって、興味が非常に持ちづらくて。剣道部って設定も観終わってネットで検索して知ったけど、物語に生かさない設定てのも…。ワビスケ(って書くとノリスケさんみたいだね)への恋心って設定も、あるならあるでギャグで流すのではなく真剣に追わないと…。ヒロイン幼女時代篇をだね…
そんなヒロインに比べてカズマの方が興味深い、いいキャラになってるんだよね。適度に陰と謎があって。「何でそういうこと言うの」「どうしてそうなったの」って、観客(および主人公)がヒロインに対して持ちたい気持ちじゃない?それでなくても、みんなで飯食ってるときにいなくて、その後屋敷の隅っこでひっそりとネトゲやってるときには「待ってました!」となったよ。いずれあの屋敷からネットに繋いで世界を救うことになるのは分かっているのに、とりあえず誰かがネット使用しててくれないと困るからね。これで女の子だったら…と思ったがそうなるとヒロインを完全に食っちゃうのでダメか。いやしかし、「自分を男だと言い張ってる女の子」かもしれない…希望を捨ててはいけない…
そもそも「大家族」を生かし切れていないのではないか。というのは、家族間でもっと激しく対立してほしいなと。おばあちゃんの不在によって修復不可能に思えるほど対立し、そこを孫娘であるヒロインがもう一度まとめる!とかでいくべきではないのか。武家パワーが隔世遺伝みたいな、こう…。田舎の屋敷で対立とか、そういう生臭い話描きたくないという気持ちもあるかもしれないけど…チームものだって一度はチーム崩壊しそうになるだろうと…
あ、ちびっ子だって、肝心なところでピンチを生むべきじゃないか。主人公がテレビのコンセント抜いたのを根に持って、いいところでパソコンのコンセント抜かないと。
そうテレビ。テレビに主人公が容疑者としてうつっちゃった件も、うやむやにするべきじゃあないと思うんだよね。あれはやっぱり、一度きっちり連行されちゃうべきじゃないのか。


以下、いったん羅列する。

  • 主人公が何の日本代表か、は引っ張った方がいいかも。ちょっとでいい。
  • 「おばあちゃんの手紙」は最強アイテム。なのでその内容には熟慮が必要。ワビスケへのメッセージがあるなら、対面したときはもっと厳しい態度で臨むとか(で、後から本心を知ってワビスケ改心する)。それに一族全員に個別のメッセージを送信する仕組みをカズマに構築させ、ふたたび団結する原動力となるとか。
  • しかし「おばあちゃんの電話」はどうなのか。本当に申し訳ないが「この非常時に精神論すか」と思ってしまう。本当に申し訳ないけれども。
  • 「暗号を解いたのは主人公じゃない&おばあちゃんは寿命」とかのエクスキューズは不要ではないか。ちゃんと背負わせてこそ、そこからの成長が描けるのではないか。暗号を解いてないけど、アバターだけ奪われて…てのもどうなの?なぜ解いた50人をスルーして主人公直撃なので?
  • 「付近の住人は知らずにいるが、あのお屋敷の中で今まさに世界を救っている!」という構図も必要ではないか。「デジモン」における太一の母親のような、事態を知らず、まったく介入しない一般人を出して、この主人公たちにのしかかるプレッシャーの地獄絵図と対比させる。
  • 異変に気づき、主人公たちを応援し(あるいは足を引っ張り)、最終的に支援するまでいく人たち(アバターではなく、現実世界の人)の描写が足りない。数カットあれば出来る(実際「デジモン」では出来てた)。
  • クライマックスの勝負に、敵が乗ってくるかこないか問題。なぜ一族の皆さんが言い切れるのか?
  • 「敵の土俵に乗って、戦わざるを得ない!」という方が燃えないか?鷲津に向かって「トランプやろうぜ」ってアカギは言わないだろ?
  • はいからさんが通るみたいな格好のアバター遊戯王みたいな花札対決」ってアイデアはいい。とても。
  • 外人がいきなり「コイ!コイ!」コールは変だけども。なぜそんなに乗るのか。
  • そういうのも段取りだよなあ。楽しめる流れというか。「ああ、ここの裏で華麗にルールを説明してるんだな。(観客の)俺は家帰ってから検索しよう」でもいいから、そういうやる気を喚起させると…
  • 逆転技不足(=現実世界との接点不足) その手があったかぁ!って言いたい。とても。
  • 温泉への前フリも必要ではございませんか。屋敷までの道中「我が一族も財政難でさ…」「(窓から健康ランドとかを見て)あー温泉でも出りゃあなあ」「そんなん出るわけない!何m掘ったって、源泉に当たらなければうんぬんかんぬん」「はっはは」みたいな。ワザとらしくても、何とかごまかす!

「あれをもう一度、一般ウケする形でやりたい!やるんだ!」という気持ちがあったとて、成功した前作をなぞっている部分がいささか表面的じゃあ「ダイ・ハード4.0」と同じような陥穽に陥ってちゃうんですよね。もちろん、あれほどひどくは全然ないけど。「アレとアレとあの辺おさえておけばいいっしょ」じゃない!そんなもんじゃない!もっと根幹を!

*1:ヒロインの造形はそりゃかわいい。主人公の仮のアバターも情けなさが実にいい

*2:永井一郎が脇を固めていることの安心感!…ヒロインはやや、ぎこちないな…あ、神木くんはいいね

*3:田舎の風景の綺麗さ…まあ、電脳空間…OZワールドだっけ?はいつもの白壁で変わらないね…村上隆っぽさに微妙にイラッとくるけども、まあそれはそれ