とんでもない代物だった。凄いと聞いてはいたんだけど。
評判の、なんであんなものが撮れたんだ、撮ってしまったんだという「あの映像」が来る前に、来るぞというその予感に息が苦しくなり、どんどんどんどん怖くなってきて、いざその瞬間を迎えてからは後頭部を押さえられて画面から目を逸らすことが出来ず、心臓を鷲掴みされてその場を離れることが出来ず、強引に搾り出されるようになって泣いて震えるほかなかった。あれを前にして冷静でいられるわけがない。肝心な何かが写ってるわけでもないのに、いやだからこそ。
人が死んでしまうのはどうしようもないことだ。どうしようもなく周囲の人間を傷めつけ、世界を少しだけ、しかし確実に変えてしまう。
あまりのことに、さすがにおすすめせざるを得ない。監督や女優のことを知らなくても全く問題はない。ドキュメンタリーを普段全然観ない人も観るといい。ただしかし親子で一緒に観るのはあまりおすすめできないかな。本当によくあれの使用許可を出したよ、由美香ママは。劇場を出ると六本木ヒルズ(今はここでしかやってない)っていう事にも物凄くクラクラした。そりゃまあ、この話なら妻のコメントを撮る必要があったように思う(撮るの自体は弟子とかに代理にやってもらってもいい)し、撮るべき素材も取材対象も他に沢山あったような気がするけども、まあとにかく自転車の片手運転で四つ角で車に撥ねられなくて良かった。
全てを浄化する勢いのラストの矢野顕子も凄い。
- 作者: 上野顕太郎
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2010/07/24
- メディア: コミック
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あとパンフもかなり読み応えがある。