honkyochiblog

さようなら、はてなグループ…

「ゴーストライター」

とにかくきっちりと作られた、隙のない一品。お話もセリフもロケも美術も音楽も、そしてキャストは端役のじいさんに至るまで(ってイーライ・ウォラックだ!)何もかも素晴らしい。ユアン・マクレガーが差し出された毛糸の帽子のにおいを思わず嗅ぐとこ、借りた自転車の車輪が砂に埋まってちょっとよろけるとこ、ホテルのフロントの女性がなんかメイド服みたいの着てて思いっきり寝起きで出てくるみたいな細かいとこまでおもしろい。おすすめせざるを得ない。
「つかれたー」
で、出来がいいのを置いとくと、あとは「イギリスにいたら逮捕されちゃうのでアメリカに逃亡した元首相」の話を「アメリカにいたら逮捕されちゃうのでヨーロッパに逃亡した監督」が描くことから醸し出される、何ともいえない味わいを堪能したい。フランスかどっかの田舎に英語の標識や看板立てて「ここはアメリカです!」って言い張る大技。アメリカかどっかの砂漠に日本語の標識立てて「ここは埼玉県です!」って言い張った三池崇史かっていう。「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」ではロスアンゼルスを東京と言い張ってた瞬間があったな。
ライターを演じるユアン・マクレガーは不安定な立場から「出過ぎた真似」をしてしまうまでを演じるのに過不足ないし、元英国首相を演じるピアーズ・ブロスナンも押し出しが良いのに中身が空白な様が素晴らしくハマっていて、元首相夫人を演じるオリヴィア・ウィリアムズも神経質さと腹の据わった感じが最高なので、そういう意味では秘書役のキム・キャトラルだけはいささかミスキャストな気がする。
あと最初の方に出てくる出版社の上層部の人みたいな巨漢のおっさんは実にいい声だったので、吹き替え版では大平さんがいいなあ。ってもう吹き替えも作られてるか。