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「エッセンシャル・キリング」

「暑い国の人が寒い国ですごく苦労する」っていう、「クール・ランニング」系の珍道中コメディ…いや嘘、とりたてて特殊能力のない男がひたすら逃げて逃げて逃げまくる「フィッシャーを殺せ」ばりのソリッドなサスペンス。わらしべ長者ならぬわらしべ逃亡殺人犯。
映画としては主人公のセリフを廃して「動き」に特化した理想的な絞込み具合で、基本的にすごく面白いんだけど、狙ってやってる各シークエンスの終わり際の絶妙な間延び加減で何度か気絶しそうに…。そう、これは疲労と失血で何度も気絶する主人公に観客をシンクロさせる仕掛け…。エッセンシャル・ダメージ・ケア…
この企画、何よりキャスティングの勝利だよなあ。イスラム圏の人っぽく見えて、かつ90年代を通過した映画ファンへの知名度がある(あれ、そう言うといまいちな感じだな…)ヴィンセント・ギャロを主人公に配置できた時点で単館系としてかなり勝ちは見えた。
木の実を一心不乱に食べるギャロからカメラがパンしたその先にふと…という場面は黒沢清っぽいよね。犬にわんわん吼えられてじゃれつかれてるうちに犬がどんどん増えてきて取り囲まれてわんわんわんわん吼えられて「ああ、ああ…」となすすべのないギャロがだんだん弱っていって、しまいには気絶するとこ、妙におかしかったな。フォローもなしで。