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「八日目の蝉」

「他人の赤ん坊をさらって育てる」って発端は同じなのに「塔の上のラプンツェル」とまるで違う仕上がりに!とことんウェットに!しかしいくつか「おっ」となる場面があり、結果としてかなりおもしろかった。同時上映とかどうですかね?もしくは「この人本当のお母さんじゃない気がする映画祭」とか。
女優陣が皆すばらしい好演で、男ですいませんでした…という気持ちになるくらい男の立つ瀬と出る幕がない(というか、ノンプレイヤーキャラクターかよってくらいの役割しか与えられてない)お話。子役の演出がとても上手くいっていて、あの「赤ん坊が泣きやまないぃぃ!」というシーンはどうやって撮影したんだと思うくらい、永作博美にあやされる赤ん坊役の赤ん坊が何か本気で嫌がってて、「え、まずいんでは…引きつけとか起こしてんじゃないのこれ…」って見てる方がオロオロしちゃうくらい、脚とかえらい勢いで突っ張ってた。幼女役の幼女も演技経験なし(ちょっと読ませてもらったパンフに書いてあった)なのに、よくあそこまで持ち込んだな。そして逃げ込んだ先のナチュラルカルトでの衣装がめちゃくちゃかわいかった。よく知らないけど「ナチュリラ」とか「リンネル」とかのナチュラル系雑誌でコラボ特集組まないんですかね?無理か、カルトじゃ。
評判のいい小池栄子も良かった(司会が出来てあのオドオドウザ演技が出来るって凄い器用だ)けど、時間軸的にはいちばん若いはずの時がいちばん老けてる永作博美(逃避行の果てにどんどん解放されて生き生きとしてくる、映画によくある魔法、いいよね!)も、愛人への対抗意識か美容院行ったばっかみたいな髪型で乗り込む妊婦から神経衰弱ギリギリの被害者母までを演じる森口瑤子も、あのカルトの衣装がナチュラルに似合う市川実和子も、皆、実によい仕事っぷり。井上真央はふつう。熱演とは思うけども。
しかし誰よりおいしいのはそのナチュラルカルトの教祖を演じる余貴美子な!なんだあれ。出てくると知らなかったから登場した瞬間ふいた。その髪型はスプレーは使わずに何か自然素材で固めたんですかっていうwそして肩に手を置いて歌うひとりムードもりあげ楽団の人w あの場面かなり笑ってしまった。ロケ地の飾りつけといい、実にいい。
監督の成島出は「シャブ極道」や「恋極道」の脚色とか「クライマーズ・ハイ」の脚本とかやってた人か。脚本の奥寺佐渡子はアニメの「時をかける少女」や「サマーウォーズ」の人だ。
タイトルロールの蝉は比喩として出てくるのみ(そして小説ではいいのかもしれないけど、映画としてはあまり上手い事言えてるとは思えない…)で鳴き声は聞こえるけど画面には出ず、赤ん坊をあやすために母乳の出ないおっぱいを口に含ませるという作劇上「それは出すしかないですよね!」って場面で、永作博美のおっぱいも出ず…絶妙な角度で隠されましたね…あの役のあの流れならおっぱい出しとくべきだったんじゃないでしょうかね…いや、自分が見たいとかそういうことでは決してなく…「ブラインドネス」の木村佳乃以上にそう思うんですよね…だってジュリアン・ムーアモニカ・ベルッチだったら絶対に出すわけじゃないですか…。「そういうので話題になることは望まない」って感じですかそうですか…
あとエンドクレジットに流れる、歌い出しが「どうして〜私が〜こんな思いをしなきゃいけないの〜」とかっていう中島美嘉の歌は蛇足に過ぎるよね。知らんがな。