honkyochiblog

さようなら、はてなグループ…

「天使の恋」

タラ新作に行かんと、もうすぐ上映終了のケータイ小説映画に駆け込むとか…しかしいやーすげー。観てみるもんすな、実際。
思ってたのと違う方向へ飛び、思ってたのと違う地点に着地したって感じ。原作読んでないけど、これ原作通りなの?この方向に行くなんて全く予測不可能。劇場でプスプス笑ってしまった(一応こらえようとした)。全くもってストレンジな鑑賞体験だった。これが異文化交流ってやつですか?
カメラマンが頑張ってて、谷原章介の家での室内シーンとか、陰影がけっこういい感じだったのも意外。いや「僕の初恋を(略)」とかは、絵がおしなべてペラッペラだったもんでね、ひと昔前の邦画みたいな。ロケでも朝焼けの海をバックに堤防の上をとぼとぼ歩く佐々木希をとらえたカットとか、良かったなと。タイトルバックはこじゃれてて何かパルコのCMのようであった。
●さすがに1800円払うのはね…(でももうレイトもないしね…)と金券屋行ったらビルごと無くなってて噴いた。川崎くらいの規模の街なら他にもあるだろと慌てて探したけど全然見つからなくて困って携帯で検索してアゼリア(地下街)にあるのをようやく知った。1300円。上映開始ギリギリだったので走った。俺、ケータイ小説映画観るために走ってる!スローモーションで走ってる!
●劇場に入ると床に二箇所ほどポップコーンがぶち撒けられ。おなじみのチネチッタが微妙に違う雰囲気に!これが客層の違いか!文化の違いか!たまたまか?
そんでは例によってだーっと…
○でかい字幕で「14歳のとき」。病院ロビーのベンチに座る佐々木希(亜成体)。受付を済ませる母親役は若村麻由美。3時間とか、そういう単位の拘束と思われる。それっきり出てこない。おしゃれなサングラスにスーツで格好良い。すごいよ、エンドクレジットに3人くらい専用のメイクさんとスタイリストさんとかの名前があったし。
○「14歳はキツくないか」と思ったが、なんとかなった。なるもんだ。どんくさい格好して伏し目がちにしとけば大丈夫だ!
○そのとき同じ病院で「余命いくばくもないッス」と告知されてショック受けてるのは谷原章介。個人的には「極道戦国志 不動」から「クロスファイア」で止まっているので印象は良いまま。「嫌われ松子」?出てたっけ…
○ふたりは苗字が同じなもんで、(看護婦に呼ばれて同時に反応して)ここで微妙に会ってました(つっても自覚あるのは谷原章介だけ)。何で佐々木希が母親に引きずられて病院来てたのかは最後まで引っ張る所存です。いやまあ、大体察しはつくけども。
○でかい字幕で「17歳のとき」。お台場のホテルのベッドで後ろ向きの全裸で登場する佐々木希(完成体)。周囲に万札が散らばっている。いったい何が? いや、こっちは余裕で察しがつく。世界に絶望して精神が荒んだ、で間違いなし。本当の愛を知る前フリ。
○さすがに背中と脚と二の腕と腰のくびれはハンパない。サイボーグかという。正面からの顔もね。
○というかそれ以外、本人も認めるとおり演技とかは、親戚の子か何かと思って暖かく見守るしか…。お父さん!あの子出てきたわ!頑張ってるわよ!
○高級そうなレストランのメイン階段を高級そうなドレス着用で降りてくる佐々木希日比谷シャンテのCMみたいだ。
○遠くの席で酒井若菜に水をぶっかけられてる谷原章介を見てクスッと笑う佐々木希。その肩に手をかける「パパ」は…あっ団時朗だ!ナイスキャスティングカメオ出演だ!2時間拘束くらいか?これっきりだ!
(あ、そろそろ初見時のインパクトのために、観る気がちょっとでもある人は、読まない方が…と一応)
○そんな佐々木希も、一応高校には通ってる。女子高。教室では地味な眼鏡っ子がイジメの対象になっている。取り巻きの一人が佐々木希に「そろそろ助ける日じゃん?」とか囁く。
眼鏡っ子にイジメっ子が「金が払えない?だったら作るしかねえな!お前のヌードをネットに流してやる!よし脱がせろ!」「やめてえっ!」みたいな。
○ていうかね、この眼鏡っ子を演じるのが山本ひかるなもんで…(分からない人はググる)。何ですかこの虚実のクロスオーバーっぷりは…。
○「あんたたちやめなよ」と棒読みで割って入る佐々木希。こうして恩を売り、「遊び行こ」とクラブに連れて行き楽しい思いをさせ、ドレスを着せてメイクをしてやり、「バイトすればこういうことずっと続けられるよ!」と悪魔の囁き。「バイトって?」「援交だよ!」と明るく告白。みんなやってるから平気だよ!
○見捨てられ不安におののく山本ひかるは「でもトモコには無理かも…いいよ、ここで帰りなよ」と一旦引いてみた佐々木希に陥落。佐々木希山本ひかるを抱きしめて取り巻きにピース。援交相手から金を取り、さらにその現場を男に盗撮させて恐喝させて、と…えー、こんなズッブズブに悪いところからスタートすんのかー…
○あああと、イジメっ子であるところのナオコとも密会して(別のグループにいるので)夜ベッドでイチャイチャして「ほんとはナオコだけだよ」とささやいたりもするのであった。何でもアリな様子。ここからスタートかー…自伝的ストーリーでしたっけ?
○とまあそんな悪の華を咲かす日々(そういう日々を楽しげに綴るモンタージュまである極悪ぶり)だったが、ある日窓口のミスで、同じ苗字の谷原章介の写真(遺影用の自分撮り写真)が手元に。その顔を見て恋に落ちちゃった佐々木希は、本人と会う約束を取り付けるのであった。連絡先も袋に書いてあるしね。
○取り巻きたちも「フィルムだあ」と珍しがっていたので、女子高生は銀色のフジツボみたいのがびっしり張り付いたデジカメ使いつつも、印刷するのがめんどくさい(か、インクリボン商法に異議を申し立てるスタンス)からプリンターは持ってないってことなんだろうなと脳内補完。
○待ち合わせはチネチッタの角の花屋。客席にちょっと反応が。お父さん!あの店出てきた!頑張ってるわよ!
○あいにくの雨だが、既に篭絡にかけては達人クラスの佐々木希はまとわりつくナンパ男に惜しげもなくブランド物の傘をくれてやって追い払い、シレッと「慌てて来ちゃって傘がなくて…駅まで入れてもらっていいですか?」とかわいく言ってのけ、谷原章介と相合傘することに難なく成功。まあそれくらいはするわなあ。断る男もいないわなあ。
○しかしチネチッタエリアを出る前に谷原章介はブッ倒れ、意識不明に。ほい来た、難病モードだ!
○病院の廊下で14歳のときがフラッシュバックしたりするものの、谷原章介の方は一晩様子を見るくらいで大事には至らず。
ふうあ!やばい詳しく書きすぎた!これはキリがない。やめよう…。
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…いや、おかしいのはここからで、これからの下りのことだけ書きたかったんだけどさ。ここまでを踏まえないでここからだけ書いても訳わかんないじゃん?
谷原章介、大学で日本史教えてるのね。個室があるから助教授くらいか?だもんで、どうにか仲良くなりたい佐々木希は「命の恩人のあたしを助けると思って個人授業してください!」とか何とかめちゃくちゃ強引に押し切ってその個室で日本史の講義を個人的に受け始めるのさ。でも、無駄に歴史に詳しくなるばかりで(いや無駄ってことはないんだが)一向に関係が進展しない(もともと余命いくばくもないことから新たな人間関係構築に超消極的という話ね)ことに業を煮やした佐々木希は、勝手に「じゃあ、歴史のテストで100点取ったらデートしてください!」とハードルを設定すんの。じゃあじゃねえよ。
で、「まあ、取れるんなら(さすがに無理だろ)…」とOK出された瞬間から「キューティー・ブロンド」みたいな、「本人なりのスタイルを守ったままの猛勉強」モンタージュが始まんのね。で、取った点数が(うああイングロリアスバスターズ行ってくる!)
で、取った点数が99点。1点マイナスなのはなぜかといえば「次の武将のうち長篠の戦いで織田軍に加勢したのは誰か」という選択問題で、明智光秀を選んだから。「ふむふむ」と谷原章介は言い「しかし最近の研究では、明智光秀は織田軍に加勢したという見方が有力なんだ」と続け「…だからこの問題、僕が試験官だったら正解だな」と100点に書き直す。
「ええっ!てことは?!」「…ああ、よくがんばったな」
「やったーーーーー!!…あ、でも先生もあたしとデートしたかったりして!」「ば、ばか、自分はただ、ひとりの研究者として…」
とまあそんなこんなで待ち合わせはふたたびチネチッタ角の花屋。
佐「どこ行く?」谷「どこでもいいよ、リオ(役名)の行きたいところで。買い物でも何でも」佐「えー、いいよ、先生の行きたいところで!」谷「…」
次のカットで二人は舗装されてないどこぞの田舎の道にいる。谷原章介は小さな塚の前でしゃがみ込んでいる。
佐「…は?」
谷「おおおこれは○○○(忘れた)の首塚!!!この横の文字!…そうかあ!」
一人で燃える谷原章介。そう、デートコースをまかせたら歴史散歩になってしまったのだ。
お土産屋で買った兜をかぶって森を進む二人。不思議な絵面だ。なんだこれ?どこに向かうの?いや、この映画自体も。