honkyochiblog

さようなら、はてなグループ…

「空気人形」

「はいそんなわけで」
「サー、お久しぶりです、サー!」
「突然意思を持って動き出した人形が人を襲うサイコホラーなわけだが」
「えっ『都会の孤独を描いたラブストーリー』じゃないんですか?もしくは『疲れた都会人に贈る大人のファンタジー』」
「いやいや『ゆっくりとした時間が流れる癒し系ホラー』だった」
「『ゆっくりとした時間』が!どうりで!」
「んなわけねーよ、『海外の映画祭で賞獲る俺ハァハァ』みたいな映画だよ」
「すいません僕が言ったんじゃないんです」
「傍目から見りゃ小汚い男がブツブツ言ってるだけだから無問題だ」
「それなら安心だ」
「この話で2時間以上かけるとかバカか。1時間半弱にしろや」
「ラストあたりねえ…」
トニー・スコットに編集任せれば耳から血ぃ流して『はいここでカット!ここもカット!でチャッチャッチャッでバッ!おしまい!』って仕上げるぜ」
「トニスコはそんなオファー受けませんよ」
「題材に対する興味の無さは大して変わんなくね?」
「あー『野球とかどこが面白いのか全然分かんね』とか言いながら『ザ・ファン』監督してましたもんねえ」
「レール敷いてる暇があったら脚本推敲しろやと」
「いやーもう敷いてる段階じゃ遅いですし」
ペ・ドゥナは『あれ?ペ・ドゥナって田畑智子だっけ?』って感じに何だか微妙になってたがとにかく頑張ってたな。おっぱい的な意味で」
「何てひどいこと言うんですか!いや本当に、心から、ありがとうございますありがとうございます。目が出てる女の子は微妙にツボですし、手足もスラッとしてて素晴らしかったと思いますよ!でも直前になんかの予告篇見たからって『この役、佐々木希だったら…』とかチラッと思っちゃってすいませんすいません」
「まあだもんで、良かったところは全部ペ・ドゥナのおかげ、で、ダメなところは全部監督のせい、でいいだろ」
「あー…いいんじゃないですかね。最初にレンタルビデオ屋に辿りついて、その直後のカットで板尾に車椅子押されてるあたりでもう『はあ?』とか思ったりで。ふざけてるの?」
「ジャンプカットだっけ」
「いやー、そういう手法が効果的な場面か?と。映画内で活動を開始したその日の動向の大事な部分を省略されるの凄い嫌なんですよ。てか何?今までの日常を続けようっていう気持ちはどこから湧いてくるの?湧いてきたならまずそこを丁寧に描くべきじゃないの?と」
「ああ、『ドーン・オブ・ザ・デッド』でショッピングモールに逃げ込んだ日みたいな感じか」
「初日だけ描写しちゃえばあとは『(これからも)ああいう風にやるんだろうな』『こういう気持ちなんだな』って補完しますからねえ。別に、動いている人形であることに気づいた人がそれをすんなり受け入れるとかはいいんですよ。そういうことではなくですね」