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「トウキョウソナタ」

黒沢清の映画はいつの頃からか、あるいは最初からか、話(というか題材か)が新しくても古くても、面白くてもつまらなくても全然関係なくなってる。
どんな事がおころうと「何だそれ」とかのツッコミを無にしつつ、何だか笑ってしまいそうな、不思議な真空の空間になっている。
今回のこれは、素のままの顔を晒しまくる香川照之小泉今日子の凄みというのもあるんだけど、
「ここにこんなカットが!」に満ちていて困る。
友人宅で、友人の娘が香川に声をかけ、階段を上がりかけて一瞬止まって凝視して去るカット。そのときの娘の顔の見え方(手すりでの隠れ方)がやばい。
次男が階段を滑り下りてくるカット。「学校の怪談f」の「廃校綺譚」で階段を滑り落ちてくる氷の塊を思い出す、すごく不吉な落ち方。
ソファから起きようとする小泉今日子が伸ばした、手を捉えたカットも何かハッとなるものがあった。朝日のカットは言わずもがな。
砂浜からタイヤの跡が…ってカットも「あー…」ってなったな。
でんでん*1の出番は2カットくらいだけど、その2カットめのあまりのかっこよさに思わず声出して笑った。ツナギが赤なのも黒沢清的だなと。
あああと、「かっこいい失業者」の人もなかなか。マジかっけー。
ハロワの階段行列シーンはかなりくるものがあった。まるで地獄かのようだ。留置場も凄かった。
井川遥は綺麗だった。おいしい役だ。

*1:個人的には「だんだん」にぜひ出演してほしい。