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「ハンコック」

前半の「人として間違ってるスーパーヒーローを総合的にプロデュースし直す」というプロットだけで完結させるべき。もったいねえー。後半の展開は続編に取っとけと。どうしてもああするんならそれなりの伏線(映画のチケットの裏に思わせぶりな走り書きでもして、ついでにどの映画にするかも死ぬほど考え抜く)張っておくとか。
最初のフリはかなりいいんだよ

  1. アル中で、人の意見を聞かない、口の悪い超人がいる。
  2. 成り行きで悪人を成敗したりするのだが、そうすることによる被害の方が甚大。
  3. だもんで毎度、非難轟々。
  4. しかしキレるとあれなんで誰も何も面と向かって言えない。
  5. そんな超人と出会った広報のプロの人、こいつをどげんかせんといかんと思う。

って流れでさ。個人的には手持ち(っぽい)カメラワークともはや絵みたいなCGアクション、字幕フォントじゃない字幕*1が見づらいと思ったけど、まあそれはそれとして。ただの個人的な感覚なので。
個人的な感覚ついでに言えば、冒頭からの「寝起きっぽい風情で、無精ヒゲで、ふてくされている」ハンコックを見て、まず連想したのは松本人志で。いやまあ実際、現実の松本がどういう精神状態なのかは本人じゃないし、そもそもテレビで見てないんでよく知らないんだけど、「自分は天才で何でも出来るが、それでも日々自分を研鑽する努力を怠らない。だから不特定多数の人間に媚を売る必要は全くないし、むしろ皆が自分の機嫌をうかがって当然だ」と言わんばかりの、なんか青臭い「達人観」を体現したような見た目が、ああ人間ってふとしたことでこういう状態になっちゃうんかなあと。まあそんなの言いがかりでどっちも単に二日酔いなだけかも知れないし、そもそも最近は違うのかも知れないけども。
(以下、「俺の観たいハンコック」を含みます。というかほぼ、それのみ)

  • 広報の人、腕はいいのだがふとしたこと(資本主義崩壊)で無職&ホームレスに。
  • 自暴自棄になって死ぬところをたまたま近くにいたハンコックに助けられる形に(本人に助ける気無し)。

もう、しょっぱなからギリギリの状況で始める。広報の人はおろか、ハンコック以外の全人類をピンチにして物語開始。
必然的に広報の人のホワイトバンドロータスクーポン?みたいなちょこざいネタは却下。広報の人の動機付けは純粋に金儲け(というかぶっちゃけ、餓死回避)で。
サブプライムローン、ドーン!原油高騰、バーン!株式市場、ボーン!で、資本主義は完全に行き詰まり、人々の不満は鬱積し、そのはけ口になっている(まあしでかしたときの経済損失もハンパないので由なきことではないけど)超人ハンコックがいる。彼も最初は悪気はなかったのだが、無学(というか記憶喪失)ゆえの一般常識の無さが災いして、もう何をやっても叩かれる状態で、ますますひねくれてしまい、人々をおちょくることに精を出し始めるという負のスパイラルに突入してしまっている。このままでは全滅だ。
これではいけない、せっかくのパワーをもっと生産的に使えばみんなが死なず、むしろハッピーに(そして自分もついでに金持ちに)なれるはずだ!と広報の人が立ち上がる。

【その時点での小ネタ案】ちょうどその時、ホームレスを前にプレゼンの真っ最中。
「いや俺たち相手にプレゼンしても」「でも企業が全部倒産しちゃってプレゼン相手がいないんだもん」

  • 広報マン、うつろな目でフラフラしてるハンコックをパソコンの前に座らせ、「現実を見ろ!」と言い放つ。

【小ネタ】ブラウザ立ち上げて開くは匿名掲示板。とてつもなく荒れまくるのでハンコック専用板が出来てるくらい。
あまりの書かれ様につい熱くなり擁護レスを書くと、数秒で「ハンコック乙」と書かれ集中砲火を浴びる。

劇中の「YouTubeにハンコックの悪行集がうpされまくってる」は良かった。で、

  • 何日かぶっ通しで顔真っ赤にしてPC叩いてそこで過ごし、さすがのハンコックも憔悴し切る。
  • 回線切って首を吊るが超人なので死なずにただぶら下がる。

無表情でね。ウィル・スミスの無表情顔は面白い。
ハリウッドスターがコメディに出ると、憮然とした表情で周囲の状況に対する「やれやれだ」と言いたげな表情で笑いを取ろうとするのが多いので(ハリソン・フォードとか…まあサスペンスでも一緒か)、何かたまには「おお、なぜそんなに頑張る」というのが見たいかな。あまりに馬鹿をやってしまったときの取り返しのつかなさはあるかもしんないけどマイペンライ

  • 広報マン「わかったかハンコック。『過去と他人は変えられない』と言うが、未来と自分は変えられる!やるしかない!闘うんだ!」

まあそんなようなわけで、超人ハンコックは、現実を知る。
「禊が必要だ」ってことでの劇中のムショに入るって展開は良いと思う。既存のヒーローじゃまず出来そうにない展開だし。

【小ネタ】公式ブログ「ハンコック更生ブログ」を立ち上げる。コメントは承認制。

集団カウンセリング(だか何だか、皆で輪になって座って語り合うやつ)に参加するのは良かった。
でも、もっときっちり自分のことを語るまで行くべき。そして超人ならではの、常人にはとても共感できない悩みを吐露。
そうすれば笑えつつ泣けるシーンになるかも。
んで身体を破壊する暴力や、悪ガキに対する、生命にかかわるほどの懲らしめは極力却下かなー。
ハンコック以外は極力現実で押して行く方向で。あんな目に遭って死なない人間いねえー。

  • 義務教育を超特急で受け、一気に一般常識を学ぶ。

「そんな簡単なことから!」と驚くようなことをハリウッドお得意の華麗なモンタージュで学ぶハンコック。ノリノリである

  • 「勢いとはいえ無関係な人にえらい被害を与えていた」ことに超遅まきながら気づく。
  • ハンコックの訳の分からない憎まれ口も鳴りを潜める。基本的な口の悪さは変わらないが、むやみに人に不快感を与えなくなる。
  • 「ハンコックとばっちり被害まとめサイト」の上位から順に謝りに行く。

「謝っちゃう」。これぞジェイソン・ボーンも推奨する新時代のヒーローの姿。
やっちゃったことはしょうがない。ここはもうきっちり筋を通す。いろいろやりすぎだったと。
悪人ひとり成敗すんのに、何人の無関係な人が巻き添えになっていたんだろうか。
世界最強の自分が面倒くさがってやらなかったあれやこれやで、人々からどれだけのやる気を奪っただろう。
そう我が身を振り返り、自分を取り巻く現実を知る。過去の自分の言動・行動が、現在の自分にどういう影響を及ぼしているか知る。
で、そこからようやく目の前の、自分以外の世界、そのカオスな現実をどうにかしていくことが出来る。
もはや世界はグチャグチャだ。何しろ資本主義は崩壊した。インフラは止まり、暴徒は街に火を放ち、治安は悪化の一途。
今すぐにもなんとかしなきゃいけない。というかやらなきゃ、自分以外が最終的には全員死ぬ。
悪の親玉を倒せば全て解決、なら良かったんだが、どうやらそういうものではないらしい。
それっぽいのをなんぼ倒しても、カオスが広がるだけっぽい!
…とまあそんな感じで、克服すべき欠点の非常に多い超人ハンコックは、最強の敵「現実」と闘い始めるのである!(のであるってまあ、単に案なんだけども)

*1:ちなみに戸田なっち。