ｶﾞﾝ!Σorz=3ﾌﾟｯ
いやこれはびっくり。いくらなんでもそりゃねーよ。
一作目に比べて何十倍の人手と予算がかかってるだろうに百分の一も面白くない。
「『ダイ・ハード』の続編じゃなく、ジョン・マクレーンを主人公にしたスピンオフと考えるんだ」とジョースター卿に言われても無理。
この映画の面白さを検出出来たとしてもそれは誤差の範囲。もしくは「そこまで言うこたないだろ」という反発から生まれる無闇ないいとこ探し。それか「ある意味」面白いとか「逆に」面白いとかそういう方向。あるいは「全ての映画はそれが映画であるだけで愛しい」みたいな博愛精神。
アクション映画で「面白い」とはどういうことかと。劇場の皆が一体となって、ハラハラしたりドキドキしたり、プッと吹いたり、敵の卑怯さ悪辣さに怒り、意外な手を使った逆転劇にガッツポース、ヒロインも無事に取り戻したよ！と、まあ例外と順列はあれど、だいたいそういうのが「面白い」ってもんじゃないか。それがどうだ「ふーん。すごいねー」どころか、ともすりゃ失笑すらそのへんのカップルから漏れてくるとはどういうことだ。個人的には「FBIのジョンソンです」の次の主人公の表情にクスッと笑った*1くらいだ。主人公がそれを知ってるかはかなり微妙ではあるんだけど。
こんなんだったら同じ時間で家で「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム！」3回立て続けに観た方がよっぽどいい。マジおすすめ。
（書いてるうちに興奮してきてことさらにひどく罵ってしまっている可能性があるので「覚悟して行ったら意外と楽しめたよ」となるやもしれませんし、
以降ネタバレを強烈に含むかもですが、それがどうだと言うんですか！）
「退屈しなきゃいいんだろ？ほらよ」みたいな気持ちで映画を、それもよりによって「ダイ・ハード」の続編を作ってくれるなと激しく言いたい。マクレーン刑事がケツを蹴り上げるべきなのは悪のスーパーハカーではなく製作サイド。それも会議室でおくすりを鼻から吸い込んで「だからあれだろー、ダイ・ハードなんだからー、金目当てのハイテク集団が敵でー、エレベーターでアクションやってー、味方に攻撃されてダイブしちゃえばいいんだろー」みたいな話で盛り上がった重役の皆さんだ。全然よくねえよ！そこだけもってくんなよ！
一作目の予告編は今でも忘れない。テレビで流れたコピーは「アクション映画の流れを変えた！この男、ブルース・ウィリス！」だった。そう、あの頃アクション映画といえばやたらめったら筋肉モリモリな主人公が撃ちまくり爆破しまくりドカンドカン！ウヒョー！てなものばかりで*2、そういう中に出てきたのが一作目だ。どこの誰ともつかないおっさんが主役で、でも「すごく面白いらしいぜ」と聞いて、わくわくして有楽町マリオンで観たときの興奮は今でも忘れない。冴えない禿げかかった裸足のおっさんが自分の不運を嘆きながら、ボロボロになりながらも知恵と機転となけなしの度胸で悪い集団に立ち向かっていく、その姿に燃えたわけじゃないか。火花散るなか、とうとうアラン・リックマンとの一騎打ちに持ち込むブルース・ウィリスの姿に、観客のおねえさんが漏らした「かっこいい…」を忘れることができない。
そりゃもちろん延々同じことは出来ないのはわかっている。「カウボーイ」ネタは１だけで、「クリスマス」「限定空間」は２まで、太っちょ黒人アル・パウエル巡査もムカツくテレビ屋ソーンバーグも奥さんまでも、ちゃんと登場するのは２までだ。マイケル・ケイメンが音楽を担当するのは３までで、19年ぶりのルーシー・マクレーンは金髪じゃなく、父ジョン・マクレーンの生え際は完全になくなり、もうベレッタも持ってない。高いところから転落しても死なない人が増えつつ、個性のある敵は二人くらいに激減し、
そしてとうとう、観客に「どうすんだよこれ」と考えさせることもなくなってしまった。
考えるな。といって何かを感じなくていい。ただただ、食え、飲み込め。
顔から下を土に埋められ餌をぎゅうぎゅう口に詰め込まれてる気分だ。
「１」が切り拓いた道はそういうもんじゃなかったはずだ。
マシンガンのベルトの脆弱さや換気ダクトのトタンの薄さに心臓バクバクになり、倒した写真立てがいつ起こされるかハラハラし、セロハンテープの使い道を考えたり、そういう一切合財はいったいどこに行ったのか。「5ガロンと3ガロンの容器で4ガロン測れ」でもいいから、何かこっちによこせよ。
こっちはもう、残弾数はおろか、手持ちの道具すらよく分からない始末じゃないか。
「頭に銃を突きつける」が単に「さあさあ隙をついて早く倒してください」というサインになってしまっているのも早急に何とかすべき。
ドア越しに拳銃3発撃って運転手を殺してトレーラー乗っ取った主人公のことを、戦闘機がミサイル放っても機銃掃射しても殺せないのも頭が痛い。
