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映画ドラえもん「のび太の恐竜2006」

「しかし感慨深い。のぶ代吹き替えドラの『のび太の恐竜』観たの1980年3月16日ですよ」
「26年。四半世紀越え。マジかー」
「私情は置いといて、まずはメインターゲットである子供のウケはどうかということですが」
「まあ、おおむね良好かな、という感じはしました。あくまでおおむね。飽きて騒ぎ出しもせず、随所で製作側の狙い通りに笑いが起きていた」
「ギャグは動きで笑わせるのが大半。『あたたかい目で見守ってやろう』と思ったドラの『あたたかい目のつもり』のくりかえしギャグとか、ブッ壊れかかってるタケコプターに振り回される描写とか、猛スピードで飛ばすときの風圧で顔が歪むドラとのび、とか、アンモナイトに潰されてペラペラになるジャイアン(「トムとジェリー」かよ)とか」
「主題歌の合唱はなし。あまり定着してないのか、ぶっちゃけあまり名曲ではないのか」
「子供が多い劇場では、皆疑問をダイレクトに投げかけたり解説したり先の展開を喋ったり奇声を発したりするので、実況板にいるみたいです」
「原作からの改変でへえと思った部分も多々」
「ラジコンねん土でバギーを作る、じゃなく敵が差し出したオモチャ箱の中のバギーを大きくするのと、敵が放置した廃棄物入りのドラム缶を再利用してイカダを作るのは素直に感心」
「一番の違いはタイムパトロールが悪役を逮捕して以降も自分の足で日本(のあった場所)まで歩こうとするところですかね」
「物語内で一度設定された目標なわけですから、貫徹させようというのは正しい」
「しかし原作のように悪を倒して『やったぜ!』ってとこでササッと終われないのは諸刃の剣」
「どうもこのクライマックスあたりで演出が息切れした気がしますね」
「なんか、この場面、ちょっとテンポが悪い」
「あれがこうして、こうなってという段取りが、いまいちカタルシスを生まない」
「逆転のしかたとか、原作通りなんですが」
「その場で誰かが(ちゃんと伏線のある)機転をきかせて、それで逆転!とか、ないかなぁ」
「まあ今に至るまで考えても、どういうアレンジ加えれば解決するのかと聞かれたら答えに詰まるんですが」
「うーむ」
「いや、最近の子供はおそろしいですよ」
「何ってそこから、いよいよピー助との別れにさしかかったとき、後ろから子供の呟く声がしたんですよ」
「『泣けないね』と」
「…」
「時代は変わったなと」
「わしらが子供の時はそんなん呟く余裕はなかったものじゃ」
「もうちっとこう、初心だったもんじゃ」
「しかし」
「何よりおそろしいのは、その指摘が正しいことで」
「確かに泣けない」
「実際のところ、アニメでも何でも、登場人物に先にわんわん泣かれるとあんま泣けないんですよね」
「孵ったばかりのピー助がお刺身を食べる様子に目をウルウルさせるのび太にはかなりウルウルきたんですが。ペット飼ってるとすごいわかるその気持ち」
「質量保存の法則みたいに、感情にも同じような法則があるのではないか」
「画面の中の人物と、それに向かい合う観客、それぞれが表す感情(例えば流す涙)の総量は常に一定である、みたいな」
「それはそれとしても、主要なキャラの吹き替えには、一歩譲っても(偏狭だな)ゲスト扱いが妥当な有名人を起用するべきじゃないと」
「どうしても、どうしてもピー助の影に神木隆之介の顔がチラつく」
「体が大きくなったときに声を太くするというアプローチはいただけない」
「ドラミの影に千秋がチラつくのに慣れろという苦行も待っている」
「カットすべきじゃないだろと思った箇所も多々。原作厨ですかそうですか」
「『どのくらい昔に来たのか』をドラがわかりやすく説明するシーンがない。大事だと思うんだけど…」
プテラノドンに襲われる場面の恐怖描写のカットっぷりも看過できない」
「『どう食われるのか』を事細かに予想して気絶するスネ夫に、タケコプターがなくなったところをのび太に助けられて『高度が下がってる…』『俺が重すぎるせいかしら…』『そうらしいね…』『手を離さないでくれ!俺を見捨てないでくれ!』と叫ぶジャイアン、しずかちゃんを助けられない自分に泣くのび太
「全部ないのはがっくりです。極限状態でキャラを描き分ける屈指の名場面じゃないですか」
「大富豪ドルマンスタインのキャラが微妙にコミカライズされるのも気になりました」
「ヅラだったとかで笑いを取りに行く(実際取れてるけど)のはちょっと…まあこれは好みの問題か…」
「覆面の男を吹き替える船越英一郎はグッジョブ。結局、訓練を積んだ俳優さんならアリと」
「で」
「なー…」
水田わさびですよ、問題は」
「いや、今さら、デリヘルの客じゃあるまいしチェンジとか言いませんよ」
「ただやはり演技の方向性には疑問を持たざるを得ない」
「大変な状況になった時、わさびドラは深刻さに欠けると思うんですよ」
「真面目にその現実に向き合ってない感じがする」
「ふだんの皮肉っぽい感じから変化がないので」
「ナンセンスギャグに徹する(のであろう)テレビシリーズならまあ問題ないんです」
「が、大長編では、置かれた状況について正確な発言(ようは説明ゼリフ)が出来るのはドラとその話の主要キャラ(ロップルくんとか)だけなので」